力と力のモーメント

力とは

結論

力はニュートン先生が提唱した「運動の第二法則」で定義されます。それを、現代風の微分形式で表したのはオイラー先生。さらに、現代物理学風では以下のような微分形式で表します。
ここで、mは質量、vは速度ベクトル、tは時間、Fが働く力を表します。

\[ m \frac{d \boldsymbol{ v }}{dt} = \boldsymbol{ F }  \]

参考・引用:(1)山本義隆、「 Euler の力学」、京都大学数理解析研究所、数理解析研究所講究録 1608 オイラー方程式 250 年:連続体力学におけるオイラーの遺産、2008 年 7 月、pp1-pp8

はじめに

このブログは、建築構造学を扱うため、まずは「力」について考えます。ただ、手っ取り早く構造力学の問題を解きたい方はこの記事を読まなくても構いません。

力とは?

「あの人は縁の下の力持ち」というような言葉が日常的に使われています。では、「力」って何でしょうね?。

日常的な生活の感覚では、「モノの場所を変えるとき」、「モノの形を変えるとき」「モノを壊すとき」に使われている気がします。何らかの方法で、モノに及ぼす作用を表しているようです。
ただ、これでは「感覚」なので個人によって表現に差が出ます。そこで、誰もが同じように「力」を表す必要が出てきます。
歴史書を紐解くと、私たちの祖先の一部は「力」を誰もが同じように表すことができるように試行錯誤したようです。

ニュートン先生が現代風の「力」を定義した

文献(1)によれば、1687年にニュートン先生が出版した「プリンキピア」という書籍で現代風の「力」を定義したようです。文献(1)より引用すると

定義Ⅲ
物に内在する力は、各物体が、現にその状態にあるかぎり、静止していよ
うと、直線上を一様に動いていようと, その状態を続けようと抗う能力である。 …… 内在する力は、 いちばんよく内容を表す言葉として慣性の力と呼ぶことができる。 …… またこの力の働きは抵抗ともインペートゥス (impetus) とも言われる。

定義Ⅳ
駆動力とは、物体の状態を、静止していようと、直線上を一様に動いていようと、変えるために物体に及ぼされる作用である。

法則 I
すべての物体は、その静止の状態を、あるいは一直線上の一様な運動を、駆動力によってその状態を変えられないかぎり、そのまま続ける。

法則Ⅱ
運動の変化は、駆動力に比例し、その力が及ぼされる直線の方向に行なわれる。

http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1608-01.pdf
より引用

現代では、法則Ⅰが「運動の第一法則」と呼ばれ、法則Ⅱが「運動の第二法則」と呼ばれています。現代風の定義は各書籍、各資料によって表現の差がありますが、大体次のような雰囲気です。

  • 運動の第一法則
    物体に「外から力が働かないとき」又は「働く力の合力が0のとき」、すべての物体は静止状態にあるか等速直線運動を続ける。
  • 運動の第二法則
    物体が力を受け速度を変えたとき、運動量の微小時間当たりの変化は、物体が受けた力に等しい。
    それを微分形式で表すと、
    \[ m \frac{d \boldsymbol{ v }}{dt} =  \boldsymbol{ F } \ —(a) \]
    と表すことができる。ただし、\( m \)は物体の質量(スカラー)、\( \boldsymbol{ v } \)は物体の速度(ベクトル)、\( \boldsymbol{ F } \)は物体に働く力(ベクトル)を表す。ベクトルは太字で表現。
    また、近代の物理学では(a)式を「ニュートンの運動方程式」と呼んでいます。

ここで注意点です。文献(1)より運動の第二法則を微分形式で表したのはオイラー先生です。ニュートン先生は微分形式では定義していません。

また運動の第二法則は、

\[ \boldsymbol{F}=m \boldsymbol{ \alpha} \ —(b) \]

じゃないの?と思う方もいるかもしれません。(\( \boldsymbol{ \alpha} \)は加速度)が、これも文献(1)より、運動量の変化が加えられた力であるというのが現代物理学の表現のようです。

NASAのサイトを参考にすると、(a)式を実際に計算できるように差分形式で表すと次のようになります。ただし、v0はある時間t0の速度、m0はt0の時の質量。
v1は時間t1で力F受けて運動量が変化したときの速度、m1はt1の時の質量とする。

\[ \frac{m_1 \boldsymbol{v}_1 – m_0 \boldsymbol{v}_0}{t_1 – t_0} = \boldsymbol{F} \]

上式で時刻t1とt0で質量の変化がないときは、運動の第二法則は(b)式のように表されることになります。

力、位置、速度、加速度はベクトルで表すことができる

話が前後しますが、「力」、「速度」、「加速度」は、「大きさ」と「方向」を持つため「ベクトル」で表現できます。

また、物体の位置は、座標として表すことができるので、ベクトルとして表現できます。当然、物体の移動量もベクトルで表現できます。

ともに、ベクトルという表現ですが混同しないでください。

単位

SI

物理量を表す単位系は、国際単位系であるSIが一般的です。
建築構造力学に関する基本単位として、

長さ m(メートル)
質量 kg(キログラム)
時間 s(セカント、秒)

があります。物理学的には他にも基本単位があります。
日本の建築構造力学ではSIを使います。ただ、諸外国の構造力学に関する書籍やyoutubeを見ていると、異なる単位系を使っている国もあります。

質量補足

質量とは、
「すべてのモノが持っている本質的な量で、すべてのモノの間で比較可能」
というようなことを本で読んだことがあります。(本のタイトル等失念)。
現代の物理学では、重力質量と慣性質量にわけます。

  • 重力質量
    重力を引き起こす質量のことです。物体の重力質量を\( m_G \)、物体に働く重力を\( \boldsymbol{F}_G \)、物体に作用する重力加速度を\( \boldsymbol{g} \)とすれば、
    \[ \boldsymbol{F}_G = {m_G} \boldsymbol{g} \]と表現できます。
  • 慣性質量
    ニュートンの運動方程式で表される質量\( m_I \)で、物体に作用する力と加速度の比例係数です。
    \[ \boldsymbol{ m_I } \frac{d \boldsymbol{ v }}{dt} = \boldsymbol{ F }  \]と表現できます。

物理学的には、等価原理より

\[ m_G = m_I \]

が成り立つとされています。

おわりに

久しぶりに学生時代に勉強した物理を思い出して記事を書きました。思い出すのに時間がかかり、予想以上に執筆時間がかかりました。

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