力と力のモーメント

超重要!力のつり合い

はじめに

構造力学では、「力のつり合い」と「力のモーメントのつり合い」から、反力や応力を求めます。とても大切な概念です。
文字と絵だけの説明で、動きがないのでわかりにくいかもしれませんが、しっかり理解するか、「そういうルールだ」と割り切って使ってください。

まとめ

建築構造力学の観点だと、大きさが無視できる物体に複数の力が作用しても、物体が動かないとき「力が釣り合っている」とする。

式での表現は、物体に作用する複数の力をベクトルであらわし、\( \boldsymbol{F_1},\boldsymbol{F_2}, \cdots \boldsymbol{,F_n} \)とすると、

\[ \boldsymbol{F_1}+\boldsymbol{F2}+ \cdots \boldsymbol{F_n}=0\]

となります。

「0」と表記しますが、力は消えません。「動かない」という意味です。

力のつり合い式は必ず 「〇+△+×=0」という形式で書きます。右辺は「0」です。
「〇+△=-×」という形式は力のつり合い式としては間違いです。
ただし、力のつり合い式をたてたあと、「〇+△=-×」という形式に移項することは許されています。

建築構造力学では、紙面のように二次元に表すので、任意の二方向に分解した力が、それぞれの方向ごとに釣り合うことになります。そのため、分解した各方向ごとに具体的に数値の加減算で表せます。

通常、水平方向と垂直方向に力を分解します。「水平方向の力のつり合い」という日本語をを形式上、「\( \Sigma X=0 \)」と書き、、「垂直方向の力のつり合い」という日本語を形式上「\( \Sigma Y=0 \)」と書きます。

質点に働く力

質点(しってん)とは

質点とは、質量と位置が定まるが、体積、変形、回転などを持たないものです。
現実に起きている現象を数式で表すために単純化したものです。
そのため、現実に起きている現象を質点として表しても問題がない場合と、問題が起きる場合があります。
質点を図として表すためには、ある程度大きさを持って描かないと判別できません。
現実を数式で表せるように単純化することを「モデル化」と呼び、モデル化されたものを「モデル」と呼んでいます。

質点と力のモデル化

力のモデル化

力は大きさと方向を持つため、ベクトルで表現できます。図示する際は「矢印」で表します。

矢印の端部が力が作用する位置、矢印の向きが力の方向、矢印の長さが力の大きさを表します。構造力学では、矢印の長さを力の大きさと比例するように記載する場合と、単に力を表すために形式的に記載する場合があります。

コンピューターが発達する前は、矢印の長さを力の大きさと比例するように正確に描き、図上で応力などを求める解法もありましたが、近年ではあまり使われていないようです。

一直線上の力のつり合い

二つの力のつり合い

平坦で水平な二次元の台の上に質点が置いてあるとします。質点は水平方向しか動けません。この時、質点に大きさが等しくて向きが逆の力が同時に作用しているとき、質点は動けません。

一直線上の力のつり合い

この状態のとき、「二つの力は釣り合っている」と考えます。
図の状態を式で書けば
\[ F_1+(-F_2)=0 \tag{1} \]
です。
マイナス符号は、向きが逆であることを表します。上式では→をプラスとしているため、←がマイナスとなります。
力の向きを表す符号は、計算者が決めてください。がマイナスで、がプラスでも構いません。

(1)式を書いたのち
\[ F_1=F_2 \tag{2} \]
と移項することができます。最初から\( F_1=F_2 \)と書くことは間違いです。というのも、(2)式は \( F_1、F_2 \)の大きさが等しいことを表しています。図で規定されている力の向きが考慮されていることが前提になります。

複数の力のつり合い

記号だけだとイメージしにくいので、具体的に数字を入れます。
\( F_1=5、F_2=3、F_3=2 \)とします。図では表現のため、\( F_2、F_3 \)をずらして書いています。

一方向の複数の力のつり合い
力のつり合い式は、
\[ 5-2-3=0 \]
となり、力の合計(合力)が0になっているので力が釣り合っていることになります。

複数の力のつり合いを考えるときも、必ず

〇+△+×=0

という形式で書いてください。

方向が異なる力のつり合い

力の合成

力の合成とは、複数の力を一つの力にまとめるものです一つにまとめた力を「合力」と呼びます。
同じ方向の力の場合は、方向を符号で表し、単純に加え合わせるだけです。二次元で方向が異なる二つの力の合成は次のように図上で考えます。

方向が異なる2力の合成

力が三つ以上になった場合は、二つの力の合成を繰り返し用いるか、力を平行移動して、各力を繋げて合力を求めます。各力を繋げた図形を「力の多角形」と呼ぶ場合があります。

複数の力のつり合い

上図の場合は、\( F_1  \)と\( F_2 \)の合力\( F_{12} \)を求め、それと\( F_3 \)の合力を求め、それが\( F_1、F_2、F_3 \)の合力としています。

右側の四辺形は、力を平行移動してつないだものです。オレンジ色の矢印が三つの力の合力となります。

力の分解

二つの力の合成と逆の考えです。二次元上で一つの力は、任意の二方向の力に分解することができます。分解された力を元の力の「成分」や「分力(ぶんりょく)」と呼びます。
例えば、下図に示すように、赤い二方向に分解したり、オレンジ色の二方向に分解できます。
建築構造力学では、水平方向を「X方向」、「Y方向」と呼びます。
X方向の分力は「X方向成分」、Y方向の分力は「Y方向成分」と呼びます。場合によってはX成分、Y成分と略すこともあります。

力の分解

方向が異なる力のつり合い

質点に方向が異なる複数の力が作用しても質点が動かないとき、その複数の力は釣り合っていると考えます。方向が異なる力をベクトルで、\( F_1、F_2 、\cdots、 F_n \)と表せば、力の釣り合式は次のように書けます。
\[ \boldsymbol{F_1}+\boldsymbol{F_2}+ \cdots + \boldsymbol{F_n}=0  \tag{3} \]

複数の力のつり合い

ベクトルのままだと具体的な数値で計算しにくいです。そのため、建築構造力学では、すべての力を同一の二方向に分解して考えます。力の方向が同じなら、単純に足し賛引き算で計算できるからです。
通常は、水平方向、垂直方向に分解します。
ただ、常にX方向、Y方向に分解する必要はありません。場合によっては、垂直・水平以外に分解した方が解きやすいこともあります。上図は、3つの力が釣り合っている例です。

そして、方向が異なる複数の力が質点に作用し、力が釣り合っていれば、それぞれの力を同一の二方向に分解すると、分解した各方向の成分が釣り合うことになります。

例えば、複数の力が質点に作用して力が釣り合っているとします。この時、すべての力をX方向、Y方向に分解します。もともと力が釣り合っている前提だから、X方向分力の合計と、Y方向分力の合計を合成したものが0にならなければいけないです。
X方向と、Y方向は直行しているため、その合力が0になるためには、X方向の分力の合計とY方向分力の合計がともに0でないとおかしいです。

図上で示せば、上図右のように釣り合っている力の多角形は閉じた図形になります。

また、建築構造力学では、「X方向の力のつり合い」という日本語を\( \Sigma X=0 \)、「Y方向の力のつり合い」という日本語を\( \Sigma Y=0 \)と表現します。

終わりに

力のつり合いについて説明しました。はじめににも書いた通り建築構造力学上で大事な概念です。理解できるまでしっかり読み込んでもらうか、「そういうルールなのね」と割り切ってもらうかです。
この概念が使えないと、応力は求められません。

 

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