力と力のモーメント

円運動を考える

はじめに

物体の回転のことを考えたいので、事前に質点の円運動について考察しておきます。
建築構造力学の問題を解きたい方は飛ばしてください。

x-y平面内での回転運動

3次元右手系座標の原点Oを中心にx-y平面で半径rで円運動している質量mの質点について考えます。これ以降角度はすべてラジアン単位です。

x-y平面での回転運動図1

下図のように、微小時間当たりの質点の変位を図示します。回転運動するためには、常に中心に向かう力と、質点が進む方向に加わる力の二力が同時に作用していると考えられます。そうでないと、円軌道から飛び出してしまいます。

回転運動の際に受ける力

これは、小さい重りを紐で結び、くるくる回すことにより円運動が行われることからも類推されます。この場合は、重りが飛び出さない役目を紐が果たしています。

質点の位置ベクトル\( \boldsymbol{r} \)は図1を参照して次のように書けます。

\[ \boldsymbol{r} =
\left(
\begin{array}{r}
r \cos \theta \\
r \sin \theta
\end{array}
\right)
\tag{1}
\]

ここで、半径rは時間で変化しませんが、角度θは時間で変化します。でないと円運動になりません。

質点の速度\( \boldsymbol{v} \)は位置ベクトルを時間で微分して次のように書けます。

\[
\boldsymbol{v}=
\frac{d\boldsymbol{r}}{dt} =
\left(
\begin{array}{rr}
r \frac{d}{dt} \cos \theta \\
r \frac{d}{dt} \sin \theta
\end{array}
\right) \\
=
\left(
\begin{array}{rr}
-r \frac{d \theta}{dt} \sin \theta \\
r \frac{d \theta}{dt} \cos \theta
\end{array}
\right)
\tag{2}
\]

式がベクトル表記のためわかりにくいですが、(1)式と(2)式の内積をとると

\[
\begin{align*}
&\left(
\begin{array}{r}
r \cos \theta \\
r \sin \theta
\end{array}
\right)
\cdot
\left(
\begin{array}{rr}
-r \frac{d \theta}{dt} \sin \theta \\
r \frac{d \theta}{dt} \cos \theta
\end{array}
\right) \\
&=
-r^2 \frac{d \theta}{dt} \cos \theta \sin \theta
+
r^2 \frac{d \theta}{dt} \sin \theta \cos \theta \\
&=
0
\end{align*}
\]

となり、位置ベクトル\( \boldsymbol{r} \)と速度\( \boldsymbol{v} \)は直行していることがわかります。
図形的に考えると、速度は円の接線方向に向いていることがわかります。
また、

\[ \frac{d \theta}{dt}=\omega \tag{3} \]

とおき、\( \omega \)のことを「角速度」と呼んでいます。
(2)式と(3)式より、

\[
\begin{align*}|\boldsymbol{v}|&=\sqrt{(r \omega \cos \theta)^2+(r \omega \sin \theta)^2} \\
&=r \omega \end{align*}
\]

次に、速度を時間で微分して加速度\( \boldsymbol{a} \)を求めます

\[
\begin{align*}
\boldsymbol{a}
=
\frac{d \boldsymbol{v}}{dt}
&=
\left(
\begin{array}{}
-r \frac{d}{dt} (\omega \sin \theta)\\
r \frac{d}{dt} (\omega \cos \theta)
\end{array}
\right) \\
&=
\left(
\begin{array}{}
-r \frac{d \omega}{dt} \sin \theta -r \omega \frac{d \theta}{dt} \ cos \theta \\
r \frac{d \omega}{dt} \cos \theta – r \omega \frac{d \theta}{dt} \sin \theta
\end{array}
\right) \\
&=
\left(
\begin{array}{}
-r \frac{d \omega}{dt} \sin \theta -r \omega^2 \ cos \theta \\
r \frac{d \omega}{dt} \cos \theta – r \omega^2 \sin \theta
\end{array}
\right) \\
&=
\left(
\begin{array}{}
-r \frac{d \omega}{dt} \sin \theta \\
r \frac{d \omega}{dt} \cos \theta
\end{array}
\right)
+
\left(
\begin{array}{}
-r \omega^2 \cos \theta \\
-r \omega^2 \sin \theta
\end{array}
\right) \\
&=\boldsymbol{a_{接線}}+\boldsymbol{a_{中心}}
\tag{4}
\end{align*}
\]

すると、\( \boldsymbol{a_{接線}} \)は(2)式で\( \theta \) と\( \omega \)を入れかえただけなので、位置ベクトルと垂直。つまり接線方向の加速度を表します。
また、\( \boldsymbol{a_{中心}} \)は位置ベクトルと逆の方向を表しているので、常に中心に向かっていることを表します。
実際の加速度は、上記二つが合成された形で働きます。

回転している質点の運動量のモーメントを考える

唐突ですが、x-y平面内の原点を中心として回転運動している質量mの質点の運動量のモーメント(=角運動量)Lを考えます。質点の位置ベクトルをr、速度をvとします。

角運動量

\[ \boldsymbol{L}=\boldsymbol{r} \times \boldsymbol{mv} \tag{1} \]

(1)式の両辺を時間tで微分してみます。

\[
\begin{align*}
\frac{d \boldsymbol{L}}{dt} &= \frac{d}{dt}(\boldsymbol{r} \times m \boldsymbol{v}) \\
&= m \frac{d}{dt} ( \boldsymbol{r} \times \boldsymbol{v} ) \\
&= m \left\{
\left( \frac{d \boldsymbol{r}}{dt} \times \boldsymbol{v} \right)
+
\left( \boldsymbol{r} \times \frac{d \boldsymbol{v}}{dt} \right)
\right\} \\
&=
m \left\{
\left( \underbrace{ \boldsymbol{v} \times \boldsymbol{v} }_{=0} \right)
+
\left( \boldsymbol{r} \times \frac{d \boldsymbol{v}}{dt} \right)
\right\} \\
&= \boldsymbol{r} \times m \frac{ d \boldsymbol{v}}{dt} \\
&= \boldsymbol{r} \times \boldsymbol{F} \\
&= \boldsymbol{M}
\tag{2}
\end{align*}
\]

ただし、Fは質点に働く力、Mは原点周りの力のモーメントを表す。

(2)式を改めて書き直すと
\[
\frac{d \boldsymbol{L} }{dt} = \boldsymbol{M} \tag{3} \]

となります。(3)式を「回転の運動方程式」と呼びます。

おわりに

次の記事で剛体の運動を取り扱うために書き始めました。
ただ、書いている途中で思ったのですが、剛体を詳しく扱いすぎると、建築構造力学から逸脱するような気がしてきました。

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