力と力のモーメント

超重要!応力算定の根幹!剛体のつり合い

はじめに

剛体のつり合いは建築構造力学で非常に重要な概念です。
ここから出発して、反力や応力を求めることになります。
元々は物理学の概念なので分かりにくいかもしれませんが、可能であれば内容を理解していただきたいです。無理なら結果だけは覚えてください。

参考までに質点の力のつり合いは

超重要!力のつり合いはじめに 構造力学では、「力のつり合い」と「力のモーメントのつり合い」から、反力や応力を求めます。とても大切な概念です。 文字と絵だ...

に記載しています。

まとめ

剛体が動かないためには、

力のつり合い

任意の一点に関する力のモーメントのつり合い

の両方が同時に成立しなければならない。建築構造力学では、二次元で問題を考え、そして、力を水平方向(X方向)、垂直方向(Y方向)に分解することが多いので、

X方向の力のつり合い
Y方向の力のつり合い
任意の一点における力のモーメントのつり合い

を同時に満たすことになる。

表記として、
\[
\Sigma X =0 \\
\Sigma Y =0 \\
\Sigma M_{x} =0 \]
という風に表す。ただし、xは任意の一点を表す記号、aでもαでもなんでも構わない。

また、剛体に力が働くとき、その方向を延長した線を「作用線」と呼び、剛体内であれば、作用線上のどこに力が働いても同じ効果を及ぼすと考える。

剛体の力のつり合い

二次元の剛体の力のつり合い

説明しやすいように、二次元の剛体の力のつり合いを考えてみます。なだらかな平板の上に図1に示すような剛体が置いてあるとします。図1は上から見下ろした図です。

剛体の力のつり合い図1

このような剛体に、大きさが等しく向きが逆の力\( F_1、F_2 \)が作用して釣り合うことを考えます。
力だけを考えると、釣り合っているように見えますが、実際は図1右側のように剛体が回転してから釣り合うことになると思います。

何か腑に落ちない点がありませんか?。回転という動きがあってから力が釣り合っています。

質点における「力のつり合い」の概念を拡張し、剛体に力が複数作用したとき、

回転もせず動きもしない

状態を「釣り合っている」と表現するためには、力のつり合い式だけでは表現できないことになります。

回転の運動方程式

円運動を考えるはじめに 物体の回転のことを考えたいので、事前に質点の円運動について考察しておきます。 建築構造力学の問題を解きたい方は飛ばしてくだ...

の記事で、質点の回転の運動方程式を導きました。再掲します。

\[\frac{d \boldsymbol{L} }{dt} = \boldsymbol{M} \tag{1} \]

ただし、Lは角運動量、Mは回転の中心を基準とした力のモーメント(ベクトル)です。

図1で回転の中心は重心になります。

力のモーメントのつり合い

(1)式は力のモーメントを考える点が一点だけであれば、剛体全体でも成り立ちます。よって、回転の中心が同じ複数の力のモーメントの合計が0になれば、角運動量が0となり、剛体が回転しないことを表します。

力のモーメントとははじめに 構造力学の授業を行っていると、 「力のモーメントってなんで必要なんですか?」 とよく質問を受けます。これは、大き...

の記事より、力のモーメントがベクトルであること、回転の中心が同じであれば、大きさの加減算だけで力のモーメントの合計が計算できることを述べました。

ということは、二次元の剛体が回転しないためには、回転の中心が同じ力のモーメントの和が0となればよいことになります。これを、「力のモーメントのつり合い」と呼びます。
「力のモーメントのつり合い」は剛体上のどの点で考えてもいいですが、必ず一点に対する力のモーメントのつり合いを考えます。

二次元の力のモーメントのつり合いを模式的に表現

かなり姑息ですが、理解のしやすさを前提に棒状の剛体で考えます。さらに、剛体の質量が無視できるとします。

しーその模式図図2

図2はシーソーを横から見た模式図だと思ってください。△印が地面へ固定している場所です。

剛体が回転だけしない条件は、剛体全体の長さをl、回転の中心の位置をF1から距離xとし、時計回りの力のモーメントを正(+)とすれば、

\[-F_1 \times x + F_2 \times (l-x)=0 \]

と表せるはずです。このとき、シーソーを支えている地面からの力F3とF1、F2が釣り合っています。力の下向きを正とすると

\[ F_1 + F_2 – F_3 =0 \]

となります。シーソーに作用する力の数が増えても同様に考えられます。

剛体が釣り合っていることを式でどう表すか

超重要!力のつり合いはじめに 構造力学では、「力のつり合い」と「力のモーメントのつり合い」から、反力や応力を求めます。とても大切な概念です。 文字と絵だ...

の記事でも書きましたが、建築構造力学では二次元で考えます。
その時、質点に働く力が釣り合っていることを式で表すために、水平方向の分力と、垂直方向の分力がそれぞれ釣り合うと書きました。

剛体の場合も同じように考えます。ただし、剛体は回転を考えなければいけないので、すでに書いたように任意点での力のモーメントのつり合いも同時に成立する必要があります。

力のモーメントを考える点の名称を例えばx点とすると、形式的に次のように書きます。

\[ \Sigma M_x =0 \tag{2} \]

書籍によっては、

\[ \Sigma R M_x=0 \]

と表記される場合もあるようです。このブログでは、(2)式のような表現で統一します。

したがって、剛体が釣り合っていて動かないときは、建築構造力学風の表現では、

\[ \begin{align*}
& \Sigma X=0 \\
& \Sigma Y=0 \\
& \Sigma M_x=0
\end{align*} \]

と形式的に書きます。

おわりに

剛体が釣り合っている条件を考えました。建築構造力学の根幹をなす部分です。しっかり理解するか、「そういうものだ」と割り切って使うかのどちらかにしてください。

 

 

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