Contents
はじめに
バリニオンの定理を使い複数の力が働くときの合力の位置を求めることができます。分布荷重(別記事)の合力の位置を求めるときは必須です。
まとめ
一点における複数の力による力のモーメントの合計は、合力による力のモーメントに等しい
というのがバリニオンの定理です。
バリニオンの定理の証明
図1に示すような剛体に、力F1、F2が作用しているとし、剛体上のO点に関する力のモーメントを考えます。
例えば、図2に示すようにに示すように、各部に記号を割り振ります。ただし、\( OD \perp DB \)、\( OA \perp EC \)とします。
力F1のO点に関する力のモーメント\( M_{F1} \)は図形的に次のように表せます。
\[ M_{F1}=h \times |\boldsymbol{AB}|=2 \times \triangle OAB =2 \cdot \overline{OA}\cdot \overline{DB} \tag{1}\]
同様に力F2のO点に関する力のモーメント\( M_{F2} \)は次のように表すことができます。
\[ M_{F2}=2 \times \triangle OAC =2 \cdot \overline{OA}\cdot \overline{EC} \tag{2}\]
ここで、図3に示すようにF1とF2の合力FのO点に関する力のモーメント\( M_{F} \)を求めます。
\[ M_{F}=2 \times \triangle OAF =2 \cdot \overline{OA}\cdot \overline{GF} \tag{3} \]
ここで、\( \overline{DB} \)は力F1の鉛直成分の大きさに等しいし、\( \overline{EC} \)は力F2の鉛直成分の大きさに等しい。同じように\( \overline{GF} \)は合力Fの鉛直成分の大きさに等しいので、力のつり合いの定義より
\[ \overline{DB}+ \overline{EC}= \overline{GF} \tag{4} \]
となる。(1)~(3)式に(4)式の関係を代入すると
\[ \triangle OAB+ \triangle OAC= \triangle OAF \tag{5} \]
となる。つまり、
F1とF2がO点に及ぼす力のモーメントは、合力FがO点に及ぼす力のモーメントに等しい
ということになります。これをバリニオンの定理と呼んでいます。今回は2力の合力に関して証明しましたが、質点に働く力の合成のように

複数の力が剛体に作用しても同じような結論が導けます。
まとめ
バリニオンの定理は地味ですが、別記事に書く等分布荷重の合力を求めたり、剛体に働く平行な力の合成の作用位置を求める算式解法としても利用できます。
