応力を構成する力

応力を構成する力

この記事の要約

応力を構成する力まとめ

応力を求めるために部材を切断するとき、部材切断箇所の外側に仮定するのは「応力を構成する力」です。応力ではありません。
その、大きさ・向きは、力の釣合い式から求めます。

大きさ・向きが決まった「応力を構成する力」に対して、
部材側に、大きさが等しくて向きが逆の力を描き、初めて応力として扱います。

はじめに

「応力を構成する力」について説明します。これは、

私が作り出した造語です。

私が担当する講義では20年以上使っています。

このブログを書いている現在で、検索エンジンで検索しても出てきません。
また、仕事柄チェックを続けている建築構造力学の書籍でも同じような概念の説明は有りません。

だって、わざわざコトバを当てはめる必要がない当たり前のことだから。

でも、長年の教育経験から、真面目に勉強している方ほど混乱する部分です。

注意点

先ずはじめに注意点です。これから使う「応力」という概念は建築土木の一部で使われている概念です。
他分野の同じ内容を扱う学問(「材料力学」という名称が多い)でも、「応力」というコトバを使いますが、その概念が異なりますので注意してください。

この辺の詳細は別記事に書きます。

応力とは

別記事に詳細を書きますが、ここでは簡単に応力について触れておきます。

「応力」とは、荷重や反力(あわせて「外力」)が部材に作用することによって、

  1. 部材の微小変形が安定してから(止まってから)
  2. 部材内部各部に発生する
  3. 「大きさが等しくて向きが逆同士の力」の二つが一組になったもの。又は、「大きさが等しくて向きが逆同士の力のモーメント」の二つが一組になったもの。

です。建築構造力学のどんな教科書にも似たような説明が書いてあります。

棒を引張ることを例に解説

応力を構成する力

棒を引張ることを例に説明します。「力」を矢印として図示します。

棒を引張る前提条件図1

棒の一端を固定し、反対側の端部を引張ります。すると棒は伸びます。この時、部材内部に「引張」応力が発生しています。図は伸びを大げさに描いていますが、実際にこのように伸びる建材は無いと思います。

応力とは繰り返しになりますが、部材内部に発生している大きさが等しく向きが逆の力の組です。二つの力が同時に作用しています。部材が曲げられるわけではなく、引張だけを考えているので、曲げモーメントの組は考えません。

ここで、応力を求めたい場所で仮に切断します。
こうすることで、部材内部を検討できるようにし、かつ、応力を「力」に分解して検討できるようになります。

部材を仮に切断図2

図中青色実線矢印に該当する部分を「応力を構成する力」と私は呼んでいます。必ず部材の切断部分の外側に描いてください。
この時、応力を構成する力の「向き」と「大きさ」はこの時点ではわかりません
「向き」は問題を解く人が仮に決めます
建築分野では、引張応力になる向きに仮定することが多いです。どうすれば引張応力と判断できるかは後述します。

ここで、建築構造力学の教科書や授業では、図2中の青色実線矢印を「応力」と呼んでいます。youtubeで公開されている建築構造力学の解説動画でもそう呼んでいます。

でも、建築構造力学が伸び悩んでいるけど、真面目に学んでいる方ほどここで戸惑います。

応力の定義

大きさが等しくて向きが逆同士の力(又は力のモーメント)の

だからです。

矢印単体では「力」ですよね。
大きさが等しくて向きが逆の力の組が「応力」なので、図2中の青色実線矢印を「応力」とすることはおかしくないですか。?

優秀な人には想像が出来ないでしょうが、構造力学でつまづく方は、こういう些細な部分が引っかかって先に進めなくなります。

そこで、私は「応力を構成する力」と呼ぶことにしました。
これは、単なるコトバの遊びかもしれません。ただ、自分が工業高校生の頃こう考え、構造力学が理解できるようになりました。
また、仕事やボランティアで建築構造力学を説明するとき、このように説明することで、初学者の方がつまづくことは減りました。ちょっとしたコツですね。

応力として推定

さて、「応力を構成する力」から、応力を推定します。
この時は、「応力を構成する力」と対になる力を切断した部材側に描いてください。図2では青破線矢印で表します。
応力ですから、大きさが等しく、向きが逆。これは、応力の定義に従って自動的に書くだけです。

力の向きと応力の判別図3

すると、図3の場合には、応力としては引張になります。図中の青破線矢印の「力」は、部材を切断した反対側にある「応力を構成する力です」。両方同時に考えると大変なので、切断した部分だけを考るために切断した部材側に描きます。
切断した残り(図では右側)はとりあえず無視します。

応力を構成する力の「大きさ」と「向き」

仮に切断した部材は、短い時間で微小変形し、それが落ち着くと動きません。
そのため、切断した部分だけで力が釣り合っていないといけません。
そのため、外力と応力を構成する力の釣り合式をたて、応力を構成する力の大きさを求めます。

このとき、青色破線で描いた矢印は忘れてください

本来は、部材を仮に切断した反対側にある力だからです

求めた結果マイナスの符号が付けば、「最初に仮定した向き」と「逆向き」であることを表します。
ただし、不静定構造物であれば力の釣り合い式だけでは求まりません。力の釣り合いの概念や静定・不静定の概念はそれぞれ別記事に記載します。

仮に切断した残りはどうするの?

仮に切断した、残り(図では右側)の切り口に発生する「応力を構成する力」は、最初に切断した部材側に描かれている破線の矢印に相当します。

残り(図中3右側)だけを考えると、「応力を構成する力」としては左向きですが、「応力」としては「引張」になります。切断しなければ同じ場所なので、「応力」そのものが変化することはありません。

記事量が増えてきたので、別記事で具体例で計算してみます。

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