モデル化

建築物のモデル化

はじめに

現実に存在している「何か」を扱う学問では、その対象を扱いやすいように単純化することが必要です。そのことを「モデル化」と呼んでいます。
「質点」や「剛体」も現実に存在しているモノの運動を取り扱うためにモデル化されたものです。

試験に出るような建築構造力学では、モデル化された状態で議論されることが普通です。ここでは、建築物そのもののモデル化について書いていきます。

どのようにモデル化されたか、その結果を覚えてください。

骨組みのモデル化

部材そのもののモデル化

建築構造力学では、建築物を「躯体」と「それ以外」にわけてモデル化します。しかも、躯体を、梁や柱のような棒状部材と、その他の床や壁などのような板状部材にわけてモデル化します。
しかし、板状部材を建築構造力学という名称で扱うことは稀です。建築構造力学という名称では、柱や梁のような棒状部材について扱います。資格試験で「建築構造力学」とあれば、棒状部材に関することのみです。
建築分野で板状部材の力学は、「弾性力学」、「板構造」というような名称で扱うことが多いです。

また、棒状部材へのモデル化ですが、まずは単なる棒(線)としてモデル化します。そしてある程度計算が済むと断面形状や材料特性を考慮するという段階を踏んでのモデル化です。

実際にモデル化する際は、部材のどこを「線」として表すかがポイントになります。例えば、図1に示すような建物があった時、部材を代表する線をどこにするかでモデル化される寸法が変わってきます。

部材を線でモデル化図1

図1の建物をモデル化する際、赤線と青線では明らかに寸法が変わります。

モデル化された部材の表示方法

モデル化された部材は、図2に示すように線で表されます。断面形状は、図2に示すように実際の形状で表されます。材料特性は数値や記号で表されます。場合によっては、断面形状も記号や数値で表される場合があります。

部材のモデル化表示図2 モデル化した部材の表示

部材同士の接合部のモデル化

部材同士の接合部は次の2種類があります。

剛接合(剛接合)

部材同士がガッチリ接合されていて、曲げモーメント、軸方向力、せん断力(別記事)がすべて伝達する接合部です。建築の例として以下のようなものがあります。

剛接合の例図3 剛接合の例
剛接合の例鉄骨図4 剛接合の例02

ピン接合(滑節点、ヒンジ とも呼ばれる)

ちょうつがいのイメージです。部材同士が接合されているけど、回転することができます。力学的には曲げモーメント(別記事)が0になり軸方向力とせん断力のみ伝達され、曲げモーメントのみ伝達されない接合部です。

図5 ピン接合の例
ピン接合の例02図6 ピン接合の例

 

理想的なピン接合部は建築では存在しにくいです。図5もピン接合になります。

土木の例ですが、部材がピン接合されている例を「道路構造物ジャーナルNET」のホームページ( https://www.kozobutsu-hozen-journal.net/walks/detail.php?id=65&page=1 )より引用し示します。

ピン接合の例03図6ピン接合の例

モデル化された接合部の表示方法

剛接合を表示する際、部材が直線方向に接続されている場合は、特に剛接合を表示しません。角度を持って接合される場合も剛接合が表示されないことが多いです。
剛接合を強調したい場合は、図7のように表示されます。剛接合を強調

図7 剛接合を強調 

ピン接合を表示する場合は、図8のように表示します。回転できるというイメージです。

ピン接合の表示図8 ピン接合の表示

 

地面に固定される点(支点)のモデル化

骨組み全体が動かないように地面に固定される部分を「支点」と呼んでいます。支点には次の3種類あります。

移動端(ローラー)

移動端(ローラー)は骨組みが水平方向や、回転することができる支点です。土木の例ですが、そのイメージを日本鋳造株式会社のホームページ(http://www.nipponchuzo.co.jp/product/products/線支承/)より引用し示します。

移動端

回転端(ピン、滑節端)

骨組みが自由に回転できる支点です。土木の例ですが、そのイメージを日本鋳造株式会社のホームページ(http://www.nipponchuzo.co.jp/product/products/ピンローラー/)より引用し以下に示します。

回転端

固定端

骨組みがガッチリ固定されている支点です。移動も回転もできません。

固定端図9 固定端

モデル化された支点の表示方法

支点の表示図10 支点の表示

モデル化された骨組み全体の名称と表示方法

単純梁

単純梁図11 単純梁

梁の両側を、回転端と移動端で支持した構造物です。回転端と移動端は左右どちらでも構いません。

片持ち梁

片持ち梁図12 片持ち梁

片方を固定端とし、もう片方は何も支持されていない状態の梁です。

ゲルバー梁

ゲルバー梁図13 ゲルバー梁

建築で使われているとは聞いたことがありません。(建築の事例があればお教え願えると助かります。)
元々は、距離が長い橋を建造する際に考案されたようです。途中にピン接合を挟むことにより、別記事で書く静定構造物として扱えます。

ラーメン

ラーメン図14 ラーメン

仕口が剛接合されている構造物です。

トラス

トラス図15 トラス

仕口がすべてピン接合されている構造物です。トラスであることが明確なときは、仕口のピン接合の表示を省略します。

おわりに

建築構造力学においては、建築物のモデル化がされた状態で議論されることが多いです。
構造設計する際は、構造力学で学んだ結果をもとに、実際の建築物にモデルを当てはめます。ある程度計算経験がないと構造設計におけるモデル化はうまくできません。
試験に受かるためなら、とりあえず名称を覚えてください。

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