反力・応力

超重要!応力とは

はじめに

建築構造力学では、「応力」(おうりょく)を求めることが一つの山場です。ここでは、応力の算出はせず、応力とはどういうものか説明していきます。ぜひ、応力のイメージをつかんでください。
また、「建築構造力学、土木構造力学の一部」で定義される「応力」は、その他の分野で定義される「応力」と異なります。

建築構造力学での応力とは

応力のイメージ

構造物に荷重が作用し構造物が地面から動かないために支点に反力が発生すると考えました。
このとき、構造物の各部分は実際は変形しますが、やがて変形が止まります。そして動かなくなります。動かないということは、構造物の各部で力や力のモーメントが釣り合っていることになります。

その釣り合っている力や、力のモーメントそのものが、建築構造力学で扱いたい「応力」だとイメージしてください。単位は、力の単位、力のモーメントの単位になります。
この辺は私流の説明の仕方で、一般的な教科書にはおそらく載っていません。

大切な点は、力や力のモーメントが釣り合っているため、二つの力や、二つの力のモーメントを同時に考えなければいけないことです。この視点が抜けると応力の求め方の意味が分からなくなります。

教科書的な応力の説明

ありがちですが、片持ち梁を引っ張った場合を考えます。

図1

図1のように片持ち梁のB端を引張るような力を加えます。すると、現実では図2のように伸びるはずです。
そして、すぐに伸びが止まり、力が除去されるまで伸びたままを保ちます。
つまり動かないわけです。動かないということは梁の各部で力が釣り合っているということです。
ただし、図2は大げさに伸びを書いています。
急にご都合主義で恐縮ですが、建築構造力学では「微小変形」を扱うためこの「伸び」の影響は応力を求める際は考えないようです。

図2

静力学

建築構造力学は、物理的(なのかな?)には「静力学」と呼ばれる分野です。静力学の正式な定義は私はよくわかりませんが、運動量が無視できるような静止(に近い?)状態を扱う学問分野と理解しています。
そのため、構造物に荷重が作用してから変形する時間は無視しているのかもしれません。この辺は建築構造力学の教科書に詳しく記載されていないので、私もよくわからないところです。
詳しい方からのご指摘をお待ちしております。(文献を示していただけると助かります)

建築構造力学では応力は3種類

軸方向力

軸方向力は、部材を流さ方向に引張ったり、圧縮したりする力の組のことです。
建築構造力学では、引張りを「正(+)」、圧縮を「負(-)」として考えます。

ただし、基礎などの土を扱う場合は、何の説明もなく圧縮が正(+)となるので注意してください。

せん断力

部材を流さ方向と垂直に断ち切るような力の組です。
少し強引ですが、図?に示すように時計回りに断ち切る場合を「正(+)」、反時計回りに断ち切る場合を「負(-)」とします。

曲げモーメント

部材を曲げるような、力のモーメントの組です。部材のせいを考慮すると、図?に示すように曲げた場合は、部材の下側が引張られ、部材の上側が圧縮されます。
書籍によっては、引張られる場所によって曲げモーメントの正負を区別していますが、建築構造力学では本来曲げモーメントの正負はありません。

建築分野と他の分野で異なる定義

モノを作る分野では、建築以外でも建築構造力学のような学問があります(「材料力学」と呼ばれることが多い)。
ただ、建築・土木の一部の分野と、それ以外の分野では「応力」という言葉の定義が異なるので注意していください。

ネット上では、先ほど説明した「応力」は使われていないとか、建築分野は応力の使い方がおかしいとか意見がありますが、すべてでたらめです。(例えば ※参考 参照)
法律にきちんと記載されています。使われていないわけがありません。

建築基準法や建築基準法施行令などの建築関連法規には、「応力」と「応力度」という二つの言葉が使われています。例えば、建築基準法施行令第八十九条に「木材の許容応力」の定義があり、条文中の表に次のように記載されています。。

長期に生ずる力に対する許容応力度(単位 一平方ミリメートルにつきニュートン)

このように、建築と土木の一部では、応力度は\( \frac{力の単位}{面積の単位} \)で表します。また、「応力」は「力の単位」か「力のモーメントの単位」で表します。

また、国土交通省のサイトにアップロードされている橋の技術基準である「道路橋示方書」(http://www.mlit.go.jp/road/sign/kijyun/pdf/hashikouka.pdfにも「応力」と「応力度」が使用されています。
橋は土木で扱うため、土木分野でも建築と同じ「応力」の定義が使われていることが確認できます。

ただ、私が所有している土木向けの構造力学の教科書、
渡辺 英一ほか、構造力学〈1〉、丸善、1997
には、「応力」の定義が「単位面積当たりの断面力」と書かれており、土木の一部では建築と「応力」の定義が異なるようです。また、※参考3 にも書きましたが、土木系の大学教授が建築構造力学の「応力」の使い方を「おかしい」と書いていたこともありました。

※参考1 質問が取り消されたため、画面の一部のキャプチャーのみ表示します。
建築分野で使われている応力のことが分ってない知ったかぶりの自称学者の書き込みです。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14215264649

知恵袋の引用

※参考2
こちらも上記の回答者と同じ自称学者の書き込みです。魚拓にしておきました。
https://megalodon.jp/ref/2019-1117-1509-15/https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp:443/qa/question_detail/q12215977937

※参考3
某国立大学の土木系学科の教授が、建築分野での「応力」の使い方を自身の研究室のホームページで「おかしい」と批判していたことがあります。このブログを書いている現在でページを見つけられませんでした。

おわりに

建築構造力学での、応力のイメージをしっかり身に着けてください。

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